現在のボカロカテはリスナーには安定期、クリエイターには低迷期

このはてダは基本的に親戚縁者5人程度しか見られてないのです。書いた翌日に、ばあちゃんから「元気そうだなァ、小遣いやっからなァ」って電話かかってくるくらいの反応しかないのです。昨日鼻くそほじりながら投降した記事がなぜか戀塚さんにブクマ()され、それからカウンターが猛烈な勢いで回り始め、「うわ! モヒカン軍団がヒャッハーって攻めてきてdisられる!」と布団の中でgkbrしてました。


わずか10のブクマでこんなだったら、何百ってブクマもらったらいったいどうなるのよ?
というか、ぼくがニコ動に投降したボカロ曲よりブクマ数が多いのは悲しいです。あ、あたしだって、殿堂入り曲があるPなんですからねッ!


さて、読者が多いうちにボカロについて少し語っておこうと思います。

打ち込み系音楽カテはブームが来るとすぐ飽きられる

東方系やドナルドや伯方の塩など、素材の流行り廃りで回転していくネタリミックス系は別として、かつて爆発的な勢いで流行った打ち込み系音楽カテはブーム到来のあとはすぐに飽きられる、ということが繰り返されます。


たとえばディレイラマを使った僧侶シリーズ。あるいは、IKZO。どちらも急激にブームが到来し、唐突にブームが去りました。


打ち込み人口って想像以上に多いと思うのですよ。で、あれがウケる!って分かると、怒涛のように職人が押し寄せる。結果、玉石混合の作品でカテゴリが飽和します。そうなるとリスナーはどれを聴いていいか分からない上、毎日同じものばかり食って満腹状態に陥ります。ここでリスナー離れが急速に進み、飽きられ、新しくうpされた動画がどんなに高クオリティでも伸びなくなります。


飽和状態になったときに「これを聴いたらよいぜよ」という指針がないとカテゴリーは衰退するのです。ところがボカロカテは、作品数がどんなに飽和してもブームは相変わらず続いていっています。飽きるスピード以上に高クオリティ作品を提示する指針が現れたということです。

有名Pという指針

ニコ動では「うp主」は名無し匿名が好ましいという空気があります。ところがボカロ、アイマス、歌ってみた、踊ってみた、演奏してみたなど、作品数が「飽和ってレベルじゃねーぞ!」ってくらい多いカテには、決まったP名やコテハンがタグとして付けられる場合が多いのです。これはクリエイターやパフォーマーの自己顕示欲というより、視聴者からの要望とみるのが妥当でしょう。


クオリティの高い作品を投下できるPが分かれば、膨大な作品の中からよいものを予測して聴くことができるのです。P名タグは玉石混合の山から光る玉を選ぶための指針です。


ボカロカテにおいては、P名が多くの場合リスナー側から付けられることを考えても、これがリスナー側からのニーズから生まれたものであることが分かると思います。


また定期的にUPされるボカロランキング動画などもあり、リスナーにとってボカロカテはどんなに作品数が膨大でも「いい作品」に簡単に出会える安定期に入っているといえるでしょう。

ボカロ大盛況! 万歳!

やや唐突にぼくのボカロ曲発表体験談

さて、ここでぼく自身の体験談をお話しします。


じつはぼくは、初音ミクを発売日に手に入れてその日のうちにうpしてたクチです。
初日にゼロの使い魔2期のED曲を歌わせてうpしました(のちに権利者削除をくらう)。これが評判悪くてw、翌日長門有希のキャラソンをうp(半年後くらいに非公開にしました)。これも最初はさんざん叩かれました。


基本的にぼくは穴ぐらに住む小動物みたいにおどおどして打たれ弱いタイプなので、ああ、ぼくのような人間が生きていくには厳しい世界だった、と路線変更します。


そこで僧侶シリーズにターゲットを変えました。以前に「ひぐらしの鳴く頃に」1期のOP曲を歌わせた動画をうpして(リンク)、デイリーランキングの最大瞬間風速2位まで上り詰めたことがあったので、自信もありました。で、立て続けにスーパーマリオリンク)と踊る大捜査線リンク)をネタに僧侶動画をあげたのですが、これが全然伸びませんでした。


僧侶シリーズはすでにリスナーが離れブームは終わってたのです。


釈然としない気持ちはありましたが、ブーム終えんなら仕方ないときっぱり諦めます。そして、ランキングを見回すと、ぽつりぽつりと初音ミクのオリジナルが生まれて伸び始めてました。


そこで初音ミクのオリジナルでリベンジしようと企てます。
で、できたのが「おしえて!だぁりん」という曲。

狙いどおり当たりました。デイリーで7位くらいまでいったかなぁ。翌日「みっくみくにしてあげる」がうpされてあっという間に抜かされてったけど(笑)


狙いどおりの結果が残せて満足してしまったので、しばらく初音ミクで曲を発表するのはやめてました。リン・レンがプレゼントで当たったのを機に、手持ちストック曲からお試しで歌わせたくらい。ボカロ界ではピアプロができたり、ガチ曲がどんどんヒットしたり、有名Pが生まれ始めたり、どんどんブームになって行った時期です。


ぼく自身は出来れば来世はハダカデバネズミとして生まれて、肉ぶとん係として赤ちゃんデバをあっためるだけの一生を送りたいと思ってるので、有名Pになりたいとか、少しも思いませんでしたし。


んで、相当な休眠期間ののちに、ふとまたやる気になってガチ曲を作ってみました。「デジタル・ビットレート」って曲です(リンク)。


これがあんまり伸びませんでした。(平均よりはずっと多くの方に聴いていただけてると思いますが、「おしえて!だぁりん」での“確変”を経験してるだけに、あれ??って思いました)


「こんなにボカロが盛況で、曲の出来だって、例えば週刊ボカロランキングに入っている曲と比べてもそんなに悪くないんだけど・・・伸びないよなぁ」


当時所属していたボカロSNSの日記でさんざんそのような愚痴をこぼしてました。たいへん贅沢である意味ゴーマンな悩みだったかもしれません。

ブームが終わったわけでもない。クオリティだってそこそこある(つもり)。だけど伸びない。ぼくがのほほんと外野で眺めてた間に、いつの間にか見えない壁がそこに出来上がってたのでした。

以上、体験談終わり。

クリエイターにとっての不幸

ある程度の実力を持ったクリエイターが、今ボカロカテに新規参入しようと思ったら、想像以上に壁を感じるかもしれません。リスナーのなかで“ごひいきのP”を中心に選んで聴くというスタイルが定着してしまったので、無名Pの曲はとことん埋もれていく傾向にあります。埋もれ具合は、まるでブームが終わった音楽カテのようです。


ぼくのような底辺Pでも「おしえて!だぁりん」を殿堂入りさせることができたように、最初期の頃は作品の価値そのもので曲の人気が決まりました。今は、作品の価値そのものに加えて、誰が作ったかという人の価値、知名度で曲の人気が決まっていく傾向にあると思います。


加えて今は名前がついたPだけでも500人以上いるようですから、作品が多くの人の目に留まるか留まらないかは、超有名Pでもない限り本当に運みたいなものだと思います。


ただそれはしょうがないことです。作品の「人気度」をはかる上で、モノの価値と同程度に知名度が基準になることはあたりまえのこと。そもそも匿名同士の作品がしのぎを削ること自体が異常であって、作品に自分の名前をつけて発表できる今が正常なのです。


ただクリエイターにとってこれは不幸な状況とも言えるんじゃないかなぁと思います。世間一般の形とは違うとしても、本来ニコ動は、今も匿名のクリエイターが作品の価値そのもので勝負できる面白い場所ではあるワケで。そこに意義を感じるクリエイターにとっては、ある意味、現在のボカロカテは低迷期と言ってもいいのではないでしょうか。だって、曲を発表するだけだったら、MySoundとかmuzieとかスティッカムとか他に場所はいっぱいあるもの。


んじゃー、どうすれば面白くなるか?って話ですけど。 少し長くなったのでまた明日にでも。
→続き書きました(3/12 15:55追記)
http://d.hatena.ne.jp/maemae24/20090319/1237442813

#底辺Pとして有名Pへの嫉妬みたいなのが無いとは言えないのでその辺差し引いてくださると助かります。

#繰り返しますが、ぼく自身は出来れば穴ぐらでハダカデバネズミとして一生を終えたいくらい臆病な人間なのでw ハダカデバネズミはハチやアリみたいに、女王デバがいて兵隊デバがいて働きデバがいる、真社会性をもった珍しい哺乳類です。でも、兵隊デバって、戦いに出るっていっても基本食われに行くだけらしいよ。

#冒頭のばあちゃんのくだりはうそですww