ともだちが911陰謀論にハマってた

アポロ計画を扱ったドラマ、フロムジアースが面白かったと、ともだちに話したら、アポロ計画陰謀論の話になった。
いまだにアポロが月に行ってないって人は馬鹿だよね、というようなことをともだちは言った。


ところが、911だけは、あれは仕組まれたものだと思う、とそんなことを言い出した。


911陰謀論だった。ともだちは、知り合いから「911 ボーイングを捜せ」を借りてみたらしい。


WTCの第7ビルの崩壊はおかしい、とか、WTCのビルに突っ込んだ飛行機は窓がなくて軍の輸送機だったとか、ペンタゴンを破壊したのは巡航ミサイルだったとか、おかしなことを言い出す。


ぼくは言った。それはあの事件で亡くなった方への冒とくにも近いことだよ、と。
亡くなった方には残念だけど、でもだからこそあれはおかしいとともだちはいう。


WTCに突っ込んだのが軍の輸送機だとして、じゃあ旅客機の乗客はどこへ行ったんだ?と聞くと、全員名前も経歴も変えられて全然違う場所で暮らしているんだという。アメリカではよくあることらしい。旅客機1機に、200名の乗客乗員がいたとして、WTCペンタゴンに突っ込んだ3機をかけると600名だ。今後一般人である彼らが全員死ぬまで口をつぐんでいるなんてありえるんだろうか。


WTCに突っ込んだ飛行機に窓がなかった、という点で、がれきの山に飛行機の窓部分の残骸がある写真をネットから探して見せても、こんなものはあとからいくらでも持ってこれるという。NYじゅうの消防署員などが撤去作業で集まってるなかで?


さらにWTCに飛行機が激突する瞬間、謎の閃光が機首部分から確認できるという。映像を解析すると、ぶつかる前にその爆発のような閃光が出ているらしい。機首には燃焼物はないので、ぶつかったあとでも爆発するのはおかしい、ということだった。それに対する反論もあって、電子機器の帯電現象とか金属がぶつかったことによる発火とか、反論サイトを見せても納得しない。ありえないという。
というか、どちみち燃料満載の飛行機が突っ込んで爆発するのに、ビル衝突の瞬間を見計らって機首を爆発させる必要があるのだろうか。そっちのほうがよほどありえないけど。


ビル倒壊は、ダイナマイトによる爆破にしか見えないらしい。
テロに見せかけるためだったら、ダイナマイトによる爆破でもよかったはずなのに。ダイナマイトを仕掛けた上に、飛行機を突っ込ませる目的は?


ペンタゴンには、ミサイルが突っ込んだ。
ぼくはネットでペンタゴンへの飛行機突入のシミュレーション映像をyoutubeで探してきて見せた。
ペンタゴンに突っ込む前に、信号灯のポールが飛行機の翼で何本もなぎ倒されている。ミサイルの大きさじゃ不可能だ。これも、爆発のあとから倒したらしい。あとでぼくも見た「LOOSE CHANGE」って別の911陰謀論ビデオでは、911の直前にたまたま飛行機がポールにぶち当たってエンジンがもげて落っこちた飛行機事故を理由に、ポールにぶち当たったら破片が散って飛行機も無事でないと言ってた。だから、あとから倒したものだと。


一方で、ペンタゴンに突っ込んだときに開いた穴が小さすぎるという。
じゃあ、飛行機は硬いのか柔らかいのか。細いポールにぶち当たっても壊れる飛行機が、ペンタゴンの頑丈な壁はWTCみたいに全部破壊して突っ込まないといけないらしい。


事実、ポールにぶち当たって破片がいくつも飛んでいて、その写真も探せばすぐネット上に見つかるんだけど、それは例によって後から誰かが置いたものらしい。

一事が万事その調子だった。


たしかに、911陰謀論って、見ると誰でも信じちゃうような映像で、これがその証拠だ!って見せるんだよね。これはものすごい説得力ある。目に見えるものを覆すのは難しい。ぼくも反論に困るようなことが多かった。だってさ、ビルに旅客機が突っ込むなんて前代未聞の事件よりも、ダイナマイトでのビル爆破の方が馴染みがあるし、WTCであれほど派手に飛行機が突っ込んだのを見たから、ペンタゴンの穴の小ささに疑問を持ってしまうのは分かるんだよ。だからといって誰も見たことのない事件を過去のなにかと比較していいのだろうか。それは落とし穴じゃないだろうか。


さらに言うなら、木を見て森を見ていないというか、ディテールはどこまでも細かいのに、全体としての印象がちぐはぐなんだよなぁ。


たしかに911がその後の戦争の理由になったのは確かだろうけど、たとえその戦争をしかけるために何か仕掛けるとしても、だれがあんな方法をとるだろう。


飛行機を突っ込ますんだったら、爆弾はしかけなくていい。
爆弾を仕掛けるんだったら、飛行機は突っ込まなくてもいい。
ペンタゴン巡航ミサイルをぶち込んで、飛行機が突っ込んだと偽装するくらいだったら、やっぱり爆弾を仕掛けたほうがいいよ。


要は、おこった事件を中東のテロリストのせいにすればいいだけなんだから、すぐ疑われてしまうようなことを大変な手間と人をかけてやるよりも全然いい。


関わる人間が多くなるほど、人の口に戸を立てるのは困難になる。ペンタゴンのまわりに飛行機事故だと思わせるために破片をばらまき、ポールをなぎ倒す作業に何人が関わることになるだろう。その人たちは一生死ぬまで口をつぐむのか。あれほどディテールの細かい矛盾のありまくる事件を起こすのにどれだけの人が関わるのだろうか。何万人というレベルで、口をつぐむのだろうか?


そういうようなことを、ぼくはともだちに言ってみたけど、アメリカはそういうことをする国だという。


ケネディ暗殺をみろ、という。


うーーん。


リスキーすぎるんだよ。バレたらどうするの?と聞くと、アメリカならどんなに証拠を突きつけられても「やってない」であいまいに済むらしい。今までもそれで済んだらしい。とにかく「911 ボーイングを捜せ」を見れば分かるという。


そのあと、前述の「LOOSE CHANGE」ってビデオがgoogle videoで見れたから見たけど、やっぱり全然ぼくは911陰謀論には納得できなかった。たぶん「911 ボーイングを捜せ」を見ても変わらないと思う。それに、よく考えると前にみたと学会の本で、このビデオ思いっきり取り上げられたなぁ。今更そんなもの見てもなんも説得力ないと思う。


ともだちはアポロ計画を陰謀だという人たちを蔑むのと同じように、911が陰謀出ないと思ってる人たちを蔑むと言ってた。


その話に一晩中付き合ってスカイプで反論したぼくは蔑まされてるんだろうね。はぁ。