NTTのコールセンターと戦った話

テレビが映らなくなった。

自宅のテレビのアンテナ周りをフレッツテレビという光回線を利用したものに変更していた。ぼくはてっきりフレッツテレビの料金はネット料金と同時に引き落とされると思ってたのだけど、実は別請求だった。初期費用と数か月分の基本料金が丸々未払いで、要するにサービスを止められた、ってオチだ。もちろん郵送で請求書は届いてたし、最終通告的なものも来てはいた。だけど、ハナからネット料金と同時引き落としだと勘違いしてたぼくは、その郵便物を明細かなんかの類だと思って開封もしてなかった。もともと各種携帯やクレカの明細を開封せずに捨ててしまうタイプなので、ものぐさな性格が呼んだ失敗だ。この点はぼくが悪い。


ともかくそうしてテレビが映らなくなった。そうなってはじめてあれ?と思い、たまった郵便物を今更開封した。何枚もの請求書と「てめえ金払わんと止めるぞ。言っとくがこれが最後だ」なんて脅し文句が書いてある黄色い紙なんかが出てきて、青くなった。すぐさま、NTTの料金センターに電話した。請求を長い間にわたって未払いにすると、未払いだった分の請求も含めて、あとから別の請求がきたりする。そうすると最終的にどれを払えばいいのかさっぱり分からなくなる。その確認のためだった。


で、机の前に請求書を広げて、料金センターの人に事情を説明する。ところがオペレーターの言ってる合計金額と目の前に広げた請求書の金額が一致しない。たくさん請求書がきてるから、どれかを組み合わせればその料金になるのかもしれなかったが、いったいどれを組み合わせたらいいのか見当もつかない。そもそも請求書の内訳には、「何月分」はおろか、例えば「600円 NTT東日本利用分」と非常にあいまいな項目名しか書かれてない。こんなバカな話があるかと思ったが、まずは性急に支払うのが得策だと思ったので、ぼくは「まあ、じゃあその金額払いますから、どう払えばいいですか」と尋ねた。するとオペレーターは「ではこちらから改めてまとめた金額の請求書を送ります」と悠長なことを言う。おいおい。その間テレビ止まったままになるじゃんかよ。


それでは、ということですぐに払える裏ワザ的な支払の仕方をきいた。スマートピットカードというコンビニ払い方法。しかしながら、たとえ未払い料金を払ったとしても、フレッツテレビは再契約しなきゃ復活しないらしい。さらにここは料金窓口だから再契約について詳しくは116で訊いてくれという。

ここまでは仕方ない。払わなかった僕がどう考えても悪いのだ。再契約もしよう。その分初期費用がかかってもそれはしょうがない。とにかくテレビが映らないと、ぼくはまだしもテレビ大好きの父が困る。それで小言や嫌味を言われるのはいやだ。


まったく要領を得ないコンビニ店員に辟易しつつぼくは未払い料金をスマートピットですぐさま支払った。で、116に電話した。未払いで強制解約になったフレッツテレビを再契約したい。未払い分はお支払した。そうオペレーターに伝えた。この時点ぼくは再契約と言っても手続き上の問題で、工事や機材の準備は済んでるワケだし、端末の操作ひとつで信号はすぐさま復活すると思ってた。


ところが最初に出た116のオペレーターは保留と「あとから折り返します」電話で引きのばし倒され、3回目の電話で「スカパー光カスタマーセンター」に電話してくれと、最終的に丸投げされた。フレッツテレビはスカパー光のサービスを利用したものだから、というのが理由らしい。


「スカパー光カスタマーセンター」に電話。うちはフレッツテレビのほかにスカパー光のCS放送も契約してる。で、どうやらフレッツテレビが止まると、スカパー光のCS放送も見れなくなるらしい。ここで主従の関係が分からなくなる。スカパー光!のサービスを利用したのがフレッツテレビだとしたら、なんでフレッツテレビが止まるとスカパー光も止まるのか。さらに、フレッツテレビを再契約するには1度CS放送の解約が必要だから、チューナーその他一式を返送してくれ、と言う。意味が分からない。で、こちらのカスタマーセンターで案内できるのはCSの解約手続きのみで、あとはまたNTT116に連絡してくれ、ときた。


この辺から頭痛くなってきて、どうでもよくなる。要するにすぐにはテレビは復活できないらしい。


再度116に電話。たらい回しされるたびにゼロから説明するのが面倒くさい。しかもそのたびに説明する事項が増えていく。ぼくはカスタマーセンターとか店員相手にキレることはめったにないんだけど、このときは流石にキレてた。事情を全部説明すると、オペレーターの女性は調べて折り返しお電話します、と言った。


30分後、かかってきた電話に出る。フレッツテレビは1度止まると、再契約でも再度機材の入れ替えの訪問工事が必要だという。絶句した。確かに金払わんかったのは僕が悪い。郵便物でなんども払え払わんと止まるぞ!と警告は来ていた。でもそれきりじゃないか。別に本人確認郵便で来てたワケきゃなし、電話があったワケでもない。こっちは勘違いしてただけで払うつもりはもちろんあったんだ。最初のフレッツテレビを契約したときも、だれも料金はネットと別請求になるとは言わなかった。確認を怠ってたのはNTTも同じであり、勝手に止めておいて再開するのはむっちゃ面倒というのは納得いくわけない。


というような愚痴をオペレーターにした。そうですね。お客様のおっしゃることも分かります。再度調べて折り返し電話します、とオペレーターが言う。1時間後、かかってきた電話で伝えれた内容は、はたしてまったく同じようなことだった。進展したのは、工事予定日の具体的な日が伝えれただけ。しかも、その工事日は約2週間後だった。これが最短だという。さらに、スカパー光の解約が必要ということは間違った情報で、必要ないから再度スカパー光のカスタマーセンターに電話して、解約のキャンセルをしてほしい、という。


あまりの融通の利かなさに呆れはててしまった。もうなにをやっても半月はテレビが見れないらしい。おまけに「解約のキャンセル」という「馬に乗馬」的なワケの分からんオマケまでついてきた。


ぼくはオペレーターに言った。「ぼくの不注意が招いた結果とはいえ、この対応はあんまりだ。システムの問題だからオペレーターの方に文句を言っても仕方ないでしょうから、せめてあなたから上に伝えてくれませんか。こういう問題がおこりますからフレッツテレビを止める時は郵送で全部済ませるのではなく、たとえば電話でもいいから直接本人確認をするように、と。じゃないと、あなたもツライでしょう。自分のせいじゃないのにこんな文句言われるのは」


すると、オペレーターの方が本音を話してくれた。「ええ、その点はさきほど私も上司に伝えました。大きな組織だと融通がきかなくて困りますねえ。実はお電話をお待ちいただいている間、私もいろいろ走り回ったんです。たとえば、解約で信号を止める工事をストップできないか、と。最後まで局内工事が終わってなかったらすぐ復活できるチャンスがあるかもしれないんです。結果的にもう既に最後まで終わってて止められなかった訳ですが。スカパーの件も、私のほうでスカパーに確認取りまして、私から「解約のキャンセル」手続きはできないか?とも聞いたんですが、やはりご本人様じゃないといけない、とのことで。本当に申し訳ありません」


ああ。このひと、がんばって対応してくれたんだな。と思った。誠心誠意対応してくれた人がいるというのは、まるで納得のいかない話に、納得できるポイントを作ってくれた。ただ、この「オペレーターの本音」はぼくが「あなたもツライでしょう」と言ったからこそ引き出せた気がする。たとえば僕がこのオペレーター相手にずっとキレたままだとしたら、実はこのひとが誠心誠意裏で駆け回ってあれこれ対応してくれたことを知らないままだったかもしれない。だってキレた相手に「私も頑張ってるんです」って最悪な対応だもん。雪印の「私だって寝てないんだ」みたいな感じで。


コールセンターに電話するときは、キレるばかりじゃダメだぞってのが今回の教訓。それにしても疲れた。杓子定規なシステムは本当になんとかしてほしいわ。そして超楽しみだった東のエデンがもう見れない。最悪だ。